規則正しい生活で心と体に健康を:実践心理学科からのメッセージ(3)

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 いよいよ緊急事態宣言が解除されましたね。今まで色々とがまんをしていた分、パーッと発散したい!という気持ちをもっている人も多いことでしょう。友だちと会ったり、遊びに行ったりということを始めている人もいることでしょう。

 久しぶりの自由で心が解放されて、自分の欲望が暴走気味、という人もいるかもしれません。ちょっと待って!そんな中でも意識して生活習慣を整えることが、心のメンテナンスには大切です。今日は生活習慣リズムと心の病(特にうつ病)の関係をお話していきます。実践心理学科は心について探求していくところですが、心と体は私たちが考えているよりも強く結びついているのです。

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 変化に柔軟に対応できる精神的な強さを身につけるためには、実は毎日の生活習慣を整えることがとても重要です。健康的な生活習慣のつみかさねは毎日によいリズムをもたらします。人はそれを土台として、ストレスに立ち向かうことができるのです。逆に、ストレスへの対処の仕方を誤ると、うつ病(※)や依存といった健康ではない習慣につながったり、家族の不和やDVを引き起こす元ともなります。

 ※落ち込んだり気分が暗くなる、といった経験は誰にでもあるものですが、それがずっと長く続き、気分が晴れることがほとんどなくなってしまうのがうつ病という病気です。激しく落ち込んだ気持ちと極端に浮かれた気持ちが交互にやってくる、双極性障害(躁うつ病)というのもあります。うつ病は8人に1人が一生のうちに発病する身近な病気である一方、深刻化すると時には命にもかかわる危険な性質をもっています。ただ、治らない病気ではありませんし、予防することもある程度は可能です。

 以下、睡眠?運動?食事にわけて生活習慣と心との関係をお話していきます。

睡眠

 うつ病と密接に関わる生活習慣として、睡眠があげられます。不眠症状をもつ人がうつ病を発症する確率はそれ以外の人たちよりも高いのです。うつともっとも縁遠いのは、睡眠時間6時間以上8時間未満の人という調査結果も出ています。逆に寝すぎもよくありません。12時間以上寝る人たちもまた、うつの発症率がそれ以外と比べて高いのです。睡眠は、有害刺激への脳の過敏な反応を和らげ、気分を安定させてくれます。たとえ目覚めが悪いとしても、きまった時刻にベッドを出て、日の光を浴び、身体を動かしたり飲食したりすることで、身体のリズムが整いやすくなり、ストレス耐性が向上します。

運動

 よく寝るためには、適度な運動も重要です。運動は気晴らしとして精神的なリフレッシュ感をもたらすだけでなく、運動後のリラックスで疲労がリセットされたり、緊張がゆるみます。難しく言うと、運動は交感神経を緊張させ、その後の疲労は副交感神経を優勢にするのです。運動は食事とも関係します。運動により筋力維持と胃腸の働きが促進され、生活習慣病を予防することができるのです。強い運動である必要はありませんが、意識的に体を動かすことはとても重要です。入浴にも似たような効果があります。

食事

 きまった時間の朝食は腸を動かし、決まった時間に寝起きすることと同様に体内時計のリセットに貢献します。また、人と一緒に食事をとることが、他者とのつながりを維持し、孤独感を和らげます。食事の内容も心と関係しています。繊維質の食品を摂取して便通を整えることで身体ストレス反応のひとつである胃腸の不調をやわらげることができます。また、脳の活動には糖分が不可欠です。とりすぎや急激な血糖値の上昇に気をつけて、健康的な糖分補給を行って脳を活発に動かしましょう。

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 健康的な生活習慣をキープするのは、ときには難しいかもしれません。毎日、絶対に習慣を乱さないように、と固く考える必要はありません。ときどきは乱れてしまうけれど、それ以外の時はだいたい守れている、というペースを保っていけるといいですね。ここ最近、全体的にうまくいかない、という場合も、生活習慣の見直しから始めてみると、案外うまくいくかもしれません