オンライン授業にやる気が出ないとき:実践心理学科からのメッセージ(4)

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 新型コロナウィルスの騒ぎで混乱している間に、もう6月。暑い日も増えてきましたね。淑徳大学のオンライン授業は第7週を迎えました。学生のみなさんはだいぶ慣れてきた頃でしょうか。なんとなく感じをつかめてきたのであれば喜ばしいことです。一方で、疲れてきちゃった、という人もいるでしょう。疲れたを通り越して、もう全くやる気がでないという人も、ひょっとしたらいるかもしれません。今日は、心理学からわかる「やる気を出すコツ」をいくつか紹介していきましょう。対面授業がはじまっても、使うことができますよ。 

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回避型を避け、意識して適切なコーピングを

 たくさんの課題をストレス源ととらえるのであれば、ストレスへの対処であるコーピングの知見をあてはめることができます。不安が続くと、過食やゲーム、ギャンブルなど、くりかえすことが簡単なものを無自覚に選ぶようになりがちですが、(2)の記事でもお話した通り、こうした回避型のコーピングは無気力や絶望感につながる危険をはらんでいます。

  たとえばゲームをするときには制限時間を設け、その時間が来たらいったんスマホから離れるクセをつけるなど、注意深く自己コントロールをしましょう。そして、できる範囲で体を動かしたり、誰かとおしゃべりをしたり、気持ちを整理したりといった、ストレス軽減につながる適切なコーピングをとり、上手に気晴らしをしましょう。

『これをやるぞ!』ではなく『こうしたら、これをやるぞ!』と考える

 目標達成の研究では、何かをしようと思う心の働きを意図と呼んでいます。そして最近では、意図を目標意図と実行意図に分ける考え方が提唱されています。目標意図とは、「~をするぞ」と決心することを指します。新年や新学期に目標意図を形成する人も多いでしょう(しかし、うまくいかないことも多いのは?)。一方で、「~をしたら、~をするぞ」という形(if-thenルールといいます)で形成する意図が実行意図です。この実行意図こそが、目標達成を後押しすることがわかっています。

 授業課題にとりかかろうとするとき、ただ「課題をやるぞ!」と考えるのではなくて、「この動画が終わったら、ノートを用意して資料を読みはじめるぞ!」のように、課題にとりかかるきっかけと、その後に行う具体的な行動を意識しましょう。実行意図を形成しておくことで、きっかけが生じると同時に、頭が自動的に課題にむき、行動が生じやすくなります。

 バーンアウトに注意!

 バーンアウトは燃え尽き症候群とも呼ばれています。高いモチベーションをもって何かをすることを「〇〇に燃える」と表現することがありますが、バーンアウトはその情熱の炎が燃え尽きてしまうような状態です。具体的な症状として、以下の3つが指摘されています。

  • 情緒的消耗感:心も体も、もう疲れきってしまったと感じること
  • 個人的達成感の低下:課題が提出できても「やったぞ!」と思うことができず、「こんなことしても意味ないのにな」、などと思うこと
  • クライアントへの否定的態度:相手に対して敵意を覚えたり、相手をモノのように取り扱ったりすること。※バーンアウトはもともと看護師の間で報告された症状で、クライアントは患者のことを指しています。学生をバーンアウトの主体と考えるときにはクライアントは該当者がいないとも言えますが、課題を出した先生に敵意を抱いたりすることはあるかもしれません。

  こうした兆候が自分に見られたら要注意。完全に燃え尽きる前に、休みをとって回復に努めたり、やることに優先順位をつけたりして、バーンアウトの深刻化を防ぎましょう。バーンアウトになりかけるということは、それまでとてもがんばってきたということでもあるのです。

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  一人で大学の授業にむきあうことは、簡単なことではありません。でも、みなさんと同じように、自宅でがんばって授業課題にとりくんでいる人たちがたくさんいます。みんな『自分はちゃんとできているかな?』とか『なかなかうまくできないなあ』とか『もう疲れちゃったよ』と思いながら、それでも毎日課題にむきあっています。ここでがんばった経験は、自己効力感を高め、くじけない心を作ってくれます。追い込み過ぎは禁物ですが、ちょっとだけがんばって、そして、がんばれた自分を存分にほめてあげてください。

  対面授業がはじまったら、どれだけ大変だったか、という共通の話題で同級生や先輩?後輩と盛り上がることもできるでしょう。必ずやってくるその日を楽しみにして、姿が見えなくても必ずいる仲間と一緒に、時には先生も頼りながら、課題にとりくんでみてください。